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【コラムPTOT29】認知的徒弟制(Cognitive Apprenticeship)

【コラムPTOT29】認知的徒弟制(Cognitive Apprenticeship)

2026.07.21

学生さんを指導していると、

「もっと自分で考えなさい。」

と言いたくなる場面があります。

もちろん、自分で考える力は大切です。

 

しかし、最近あらためて感じるのは、

考える力がまだ十分に身についていない学生に、「考えなさい」だけを求めても、なかなか前には進めない

ということです。

 

例えば、実習で担当している症例について考察するとき。

経験のある理学療法士であれば、

「この姿勢なら○○が原因かもしれない。」
「他にも△△という可能性もある。」
「それを確認するには、この評価が必要だ。」

というように、頭の中で自然に考えが組み立てられます。

 

しかし学生さんは、その「考え方」そのものをまだ知りません。

だから、
「どう考えればいいのか分かりません。」
という状態になってしまいます。

 

このような学びの方法として、教育学には「認知的徒弟制(Cognitive Apprenticeship)」という考え方があります。

 

簡単に言えば、

熟練者が、自分の頭の中でどのように考えているかを、言葉にして見せる教育方法

です。

 

例えば、

「私は今、この情報を見てこう考えた。」
「でも、別の可能性もある。」
「だから、この評価を追加しよう。」

と、答えだけではなく、思考のプロセスそのものを見せていきます。

学生さんは、その考え方を真似しながら少しずつ身につけていきます。

 

これはスポーツにも似ています。

野球で「自分でフォームを考えなさい」と言われても、初心者は困ります。

まずは上手な選手のフォームを見て、真似をする。

そこから、自分なりのフォームができていきます。

 

臨床推論も同じです。

最初は、指導者の考え方を真似するところから始まります。

そして、何度も繰り返すうちに、

「先生ならどう考えるだろう。」

が、

「私はこう考える。」

へと変わっていきます。

 

自分で考える力は、何もないところから突然生まれるものではありません。

まずは「考え方の型」を学び、それを真似し、繰り返し使うこと。

その積み重ねが、本当の意味で「自分で考えられる人」を育てるのだと思います。